真実には「愛」がある
 去る6月26日、米国下院外交委は慰安婦問題に関する対日非難決議案を一部修正の上、圧倒的賛成多数で可決した。 

 以下は、私がかって先輩の軍人から聴いた実話である。 

 終戦直後、フィリッピンからの復員船の中での出来事である。レイテ決戦に敗れ、大東亜戦争の敗戦に打ちひしがれた我が陸海軍将兵達は、比島から引き上げる民間人らも混在して船室に押し込められていた。ある日、白人の船員が数名やってきて船室内を見渡して若い女性の一団を見つけ、乗員室に連れて行こうとした。彼女らは従軍看護婦達であった。彼女らは怯え、涙を流して震えていた。周りにいた男たち、かつて世界最強の陸海軍人であったもののふ達も今や見る影もなく、見るからにケンカ強そうな「野蛮人」達に誰一人抗議すら出来ず、ただ黙ってうつむくばかりであった。その時、一人の女性が立ち上がって叫んだ。 
     
「おい、素人さんに手を出すんじゃないよ。白ん坊の2人や3人、私が相手してやるよ。」 
     
 歳は三十前後であろうか、かって兵士達が世話になったお姉さまである。白人船員達に連れられて船室を出てから数時間後、沢山の缶詰や煙草の戦利品を持って彼女は凱旋した。船室に至る狭いタラップを明るい顔で降りてくる彼女が「観音様」に見えた。後光がさしていた。情けない男たちは、心の中で手を合わせ、感謝の気持ちで拝んだのである。 
 この光景を思い出すと今でも涙がこみ上げてくる。

2007/6/29