紹介文
メルマガ「軍事情報」平成25(2013)年2月3日 

先の大戦での「アジア各地における状況」を比較分析するなかで、大東亜戦争とはいったい何だったか?を明らかにする。太平洋戦争と大東亜戦争の違いを浮き彫りにし、わが国に誇りを取り戻す本 

なぜ、太平洋戦争と大東亜戦争という二つの名称があるのか? 

なぜ、昭和20年8月15日をもって先の大戦を終結したといえるのか? 

なぜ、昭和20年8月15日時点でのアジア各地の状況を包括した本がないのか? 

そういう疑問をお持ちのあなたにとりこの本は、砂浜でダイアモンドを見つけたような興奮をもたらすことになるでしょう。 

きょうは、普段と趣向を変え、目次から紹介します。理由は、この目次こそ本著最大の特徴と感じるからです。 

●目次 

プロローグ 

第1章 大東亜戦争開始 

(1)日本軍南方へ侵攻! 

(2)南方作戦 

第2章 中国大陸における終戦 

(1)国民党軍との停戦 

(2)国共内戦の狭間で 

(3)中共軍との停戦 

第3章 インドネシアにおける終戦 

(1)日本軍政と教育 

(2)日本敗戦で板ばさみの日本軍 

(3)スマランの悲劇 

(4)イギリス軍の上陸 

(5)対英・蘭戦争=スラバヤ戦争 

(6)イギリス軍の敗因 

(7)日本兵、独立戦争に参加 

(8)タンゲラン青年訓練所 

第4章 フィリピンにおける終戦 

(1)知られていない一〇〇年前の日米戦争 

(2)アルテミオ・リカルテ将軍の戦い 

(3)ベニグノ・ラモスの戦い 

(4)日本の軍政からの独立:ラウレル大統領 

(5)大東亜共栄圏と大西洋憲章 

第5章 ビルマ方面の終戦 

(1)インパール作戦の萌芽 

(2)インパール作戦の失敗 

(3)アウンサンらの抵抗 

(4)アウンサンが見た日本軍 

第6章 印度方面の終戦 

(1)インパール作戦に協力 

(2)インド独立に献身したインドの志士達 

(3)インドの独立とチャンドラ・ボース 

第7章 台湾(国民党政府)への救援 

第8章 仏領インドシナ(ベトナム)における終戦 

(1)日本を拠点に反仏活動 

(2)日本軍のジレンマと独立への貢献 

(3)明号作戦、フランス軍を武装解除 

(4)混乱の中の終戦 

(5)陸軍中野学校出身者たちの活躍 

(6)ベトナムゲリラの生みの親 

(7)井川一久氏の研究 

(8)離隊・残留と独立戦争参加の理由 

(9)残留者の証言 

(10)残留者たちの証言 

(11)第二次インドシナ戦争(対米戦) 

(12)米国のベトナム・シンドローム 

(13)ベトナム戦争とその後 

結びにかえて 

「太平洋戦争」には負けたが「大東亜戦争」には勝った! 

本著は、完全に空白状態になっている「昭和20年8月15日以降のアジアの歴史」を埋める優れた書です。空白のアジア歴史を埋める試みは、優れた文筆力を持つ元軍人という格好のナビゲーターを迎えることで成功したといえます。 

戦後日本はおかしな国です。 

そこで生まれ、育ちながらそう思わざるを得ない。不幸なことです。 

特に軍事のことを知るにつけ、思いは深まるばかりです。 

なぜわが国はブサイクな外交しかできないのか? 

なぜわが国は自衛隊に軍としての権威を授与できないのか? 

なぜわが国は、お国のために命がけで戦った祖父たち元軍人を人殺し扱いするのか? 

結局行き着くのは「国民が共有させられているおかしな歴史認識」になるんです。 

これは学校教育に限定したことばではありません。流行小説家の歴史小説や、テレビラジオ番組、映画その他すべて啓蒙媒体を通じて流れているものを含めたものです。 

洪水のようにおかしな歴史認識が宣伝された結果、おかしな日本人が大量生産され、戦後日本はとてもヘンな国になってしまったのだと思います。 

そんななかでも、こういう風潮を苦々しく思い、まっとうな「わが歴史」を発信する人々も、少数とはいえ存在しました。 

故・名越二荒之助先生はそのおひとりです。 

この本は、名越先生がまとめあげられた貴重な資料集を中心に、各種資料を紹介・分析する中で「昭和20年8月15日以降のアジア各地の実際の姿」を、元空将の著者が案内するガイドブックです。 

本著を通じて身につくのは 

・大東亜戦争と太平洋戦争は違うものだという理解 

・昭和20年8月15日段階でのアジアの過半は、わが国の占領行政下で穏やかな日々を過ごしていた事実 

・戦後アジア諸国の独立闘争のために使われた武備をはじめとする基盤は、わが国の存在にあったという事実 

・大東亜戦争の大義は昭和20年8月15日以降も継続して掲げられ、最終的に実現されたという事実 

・祖国への誇り、先人への感謝と誇りを培え、その末裔である自分の魂に火をともすエネルギー 

です。 

戦後現代史が見落としてきた視座を養う素材が盛りだくさんです。 

この本を読み終わるころあなたは、太平洋戦争と大東亜戦争の本質的な違いを掴めるだけでなく、わが戦史、いや、アジアの人々と共有できる大東亜戦史研究の初歩段階に自然に足を進める事ができるでしょう。 

見落としてほしくないポイントは 

・現在わが国が直面している困難な状況は、わが歴史への無知から発していること 

・わが国はあくまでもアジアの一員であり、アジアのリーダーとして欧米とアジア(中東・アフリカ)の橋渡し的存在にならねばならぬこと 

・大東亜戦争と太平洋戦争は全く違うということ 

・アジア各地には、昭和20年8月15日以降も旧軍人等が多数残留し、現地のために貢献して現地の土になったこと。小野田さんのような存在は稀少な存在ではなく、他にも山ほどいたこと 

・中共軍やアジア各国の軍は、わが軍の指導を受けて基盤を築いたこと 

・帝国陸軍が持っていた「教育力」は、国境・文化・文明を超えたきわめて優れたものであったこと 

・戦前からわが国は、国際社会で生き延びるための「したたかさ」に欠けていた事実 

・わが国は、アジア全域を植民地支配から解放した。そしてアフリカ諸国も期待を持って帝国陸海軍の進出を待っていた事実 

・わが国は、誇るべき先人と歴史を持つ国であること 

・欧米諸国は、わが国への警戒を永遠に解かない 

・わが国は、情報機関を持たなければいけない 

といったところです。 

それともう一つの読みどころは、著者が以前書かれた「金正日は日本人だった」の続編としての意味合いも大きいという点です。本著にも、そのときの主人公・金策こと畑中理のことが出てきます。 

わずか百年前に生きたわが先輩たちは、ここまで壮大で雄大な魂と気骨を持っていた。畑中をはじめ、本著でたくさん紹介される男たちのストーリーに触れるだけでも本著を求める価値があります。 

あなたもぜひ手に取ってください。そして、多くの人に紹介してください。 

歴史的に貴重な書です。 

心からおススメします。 

 大東亜戦争は、昭和50年4月30日に終結したのです。

2013/2/5