書 評
これをお伝えしたいと思っていました・・・ 

  

家村和幸さん(日本兵法研究会会長 元2等陸佐 元陸自幹部学校戦術教官)の新刊、終戦70周年記念出版『大東亜戦争と本土決戦の真実─日本陸軍はなぜ水際撃滅(すいさいげきめつ) に帰結したのか─』(260ページ 定価1600円+税 並木書房) 

「昨今の安保法制をめぐる野党・メディアの姿勢は信じがたい」とお嘆きのあなたへおき軍事から重要なメッセージです。 

読者のあなたへ 

おっしゃる通りです。安保法制をめぐる言論も、集団自衛権への見当違いな「違憲」論も、いまの時代甦ることはないとほとんどの国民が思っていた「かび臭い」古さです。しかし、古いから影響力がないわけではありません。 違憲だから集団自衛権も安保法制もダメなんて言葉が白昼堂々平成の御世に出てくるなんて・・・・いったいなぜなんでしょう? 

バカが多すぎる? しかも子供たちは、あなたがまばたきしているたびに成長してこういう空気を自明のものとして生きてゆくことになるのです。 

安保法制にしろ集団自衛権の話にせよ、違憲何たらという話にせよ、結局のところ、わが現代史への理解が足りない、いや知らないから起きている現象です。 

さてそんなあなたのお役にたてる良い本があります。おき軍事では、2014年に連載「本土決戦準備の真実」の配信を実施しましたが、このたび、この連載が大幅な加筆とふんだんな地図を掲載したうえで書籍化されました。書籍化にあたっては、メルマガ連載時の原稿をより充実させ、地図も多く入っています。また巻末には1章追加されており、カイロ発言、ヤルタ密約、ポツダム会談にみる連合国側の事情も明らかにされています。 

この本最大の読みどころは、日露戦争後から大東亞戦争敗戦までの「日本人の意識から消された歴史」を扱っているという点です。全体的に見ますと、腹黒い国際社会の中でわが国はいかに翻弄されたか?帝国陸軍の本土決戦思想の変遷をもたらしたキモにあったものは何だったのか? そして、帝国陸軍が最後の関頭に立った時、そのよりどころにしたものは一体何だったのか?その理由は? について貴重な指摘がなされています。 

断言します。たとえ有名な物書きであっても、これだけの内容と手ごろな価格の組み合わせで世界最強だった帝国陸軍の再終末期、終焉、ひいてはわが武の伝統の核にあるものを描いた書はありません。 

カンタンに言えば、こういうことです。もしあなたが家村和幸さんの書に触れていなければ、現在の軍事に至る「わが武」の全体像を掴めていないはずです。 

家村さんのご経歴、創刊15年の弊メルマガで連載された実績、お手頃な価格、そして版元さんの行き届いたサービスを、ぜひあなたにご自分の目で確かめていただきたい。

2015/6/27